事案の概要・結果
Xは、勤務先Yの正社員として一般事務等に従事していたが、身体、精神の
障害により業務に耐えられないことなどを理由として解雇された。Xは、Yの
社長Cや上司Dによる集団的いじめや嫌がらせを受けて多大な精神的苦痛を
被ったなどとして、①不法行為に基づく損害賠償の支払い、②雇用契約上の地
位確認等を求めた。
結果、請求棄却。
判旨の概要
Xは、書類をファイルする場所を間違える事などが多く、電話対応にも助言
を必要とすることが多かったため、CはXに対し、日報を作成させ、業務の反
省点、改善点を報告させた。この点について、Xは、日報にどんな些細なこと
でも反省点を記載しなければ叱責されるため、不合理な自己批判を強制された
と主張しているが、Xが日報に反省点を記載しなかったことを理由にCから叱
責された形跡がうかがわれない。またCは、仕事に慣れるペースが遅いXに対
し、教育指導的観点から少しでも業務遂行能力を身につけさせるために、日報
の作成を命じたと考えられ、不合理な自己批判を強制したものではないことは
明らかであるとされた。
Dは、顧客からXのテレアポの感じが悪いという苦情を受けたことから、X
とテレアポの仕方についてミーティングを行ったところ、Xは、Dからかなり
厳しく注意をされたと感じたと主張するが、ミーティングの内容は、声を大き
くすること、電話の件数をこなすのではなくアポイントの取得を目指すべきで
あることなど、苦情に対する改善策として至極もっともなものであり、 Dは、
Xの勤務態度について、かなり厳しく注意したことがうかがわれるが、そこに
Xに対するいじめや嫌がらせの目的は認められないとされた。
したがって、Yの社長や社員による集団的いじめや嫌がらせを受けて多大な
精神的苦痛を被ったというXの主張は失当というべきであるとされた。
※後述する「業務の目的を大きく逸脱し、手段として不適当な行為に関する
例」にも関連する裁判例として考えられる。
引用先:https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf
P8左側の事例より引用
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